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みんな真剣に婚活している。婚活は営業活動に近いと思った。アプローチする件数が大切だ。【石神賢介】

アラカン(60歳前後)でも出会えた婚活アプリの世界

 

■プロフィール写真は必須。人は顔のわからない相手とは会わない

 

 写真は任意だ。掲載してもしなくても本人次第。2000年代、まだ婚活サイトといっていた時代は写真をアップしない女性が多かった。男性もまだ少なかったと聞いている。登録していることを知り合いに知られたくなかったからだ。偏見があった。

 しかし、2020年代の婚活アプリは、顔写真の掲載がスタンダードだ。婚活アプリに登録することが、社会的に理解を得られるようになっている。婚活アプリの利用が珍しくなくなっている。男性だろうが、女性だろうが、たとえアプリを通してだったとしても、顔のわからない相手と交流したくないのがふつうの感覚だろう。そもそも別人が来ても判断できない。

 ただし今も大手金融に勤めている人は、上司や同僚に知られると、なにかしら社内的に不利になるかもしれない。教師も生徒の保護者に知られたら学校にクレームが来るかもしれない。

 最初に登録した婚活アプリに掲載できる写真はメインが1点。サブが5点までだった。メインは、スタジオでプロのフォトグラファーに撮影してもらったカットを選んだ。自分の著書のプロフィールに使っている正面からのカットだ。きちんとライティングして、きりっとした表情をつくっている。

 サブはあえてスナップを使った。仕事をしている姿だ。気づかないうちに撮影されていたカットが2点。1点は顔の右側から。もう1点は顔の左側から。

 写真は重要だ。女性も、男性も、相手の顔を見て、さまざまなことを判断する。やさしそうか、知性が感じられるか、清潔感があるか……などだ。プロフィールを見るときは対面前なので、写真からかなりの情報を得ようとする。

 だからこそ、メインにはプロが撮影した写真をアップした。気づかないうちに撮られたスナップも実はプロによるものだ。だから、光も自然にまわっているし、構図も計算されている。表情もいいタイミングでとらえられている。

 かつて結婚相談所に登録したときもプロフィール用に写真を用意した。プロに撮影してもらったカットだ。そのとき、サンプルとして、相談所のカウンセラーがほかの男性会員の写真をいくつか見せてくれた。いい例、よくない例だ。

 よくないほうは、社会人とは思えなかった。髪がぼさぼさだったり、無精ひげが生えていたり、眉毛がぼうぼうだったり、自宅で部屋の中に干された洗濯物を背景に不機嫌な表情をしていたり。いいんですか? そんな姿を女性に見られていいんですか? 女性に選んでもらいたくてお金をかけてまで相談所に入会したんじゃないんですか? その男性たちに問いたかった。

 もちろん、カウンセラーは彼らにアドバイスしたそうだ。しかし、言うことを聞かないらしい。自分のお気に入りの写真を持参しているのだ。案の定、彼らはなかなかお見合いが成立しなかったという。その理由には、もちろん写真のクオリティの問題がある。そして同時に、婚活を本業にしているカウンセラーの意見を聞かないという頭の固さが女性に受け入れられなかった。

 さて、写真はあと3点掲載できた。しかし、もう手持ちの写真がなかった。ふだん自分の顔写真を撮る習慣がないのだ。新規で撮影することも考えたが、それはやめて、自分が写っていない旅先の風景写真をアップした。1点は都市。ニューヨークの風景だ。もう1点はリゾート。フロリダの風景だ。多くの女性は旅行が好き。そこで、「僕も旅行が好きです」というアピールをして共感を得ようという姑息な手段に出たわけだ。

 

 写真をアップしたところで、婚活アプリの活動のための準備は整った。

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石神賢介

いしがみ けんすけ

ライター

婚活ジャーナリスト

1962年生まれ、東京出身。婚活アプリ、婚活パーティー、結婚相談所、婚活バスツアー、座禅婚活など、約30年にわたり、あらゆる婚活にトライ。食事やお茶などをともにした女性は300人を超える。女性にブランド品を買わされても、「ジジイ!」と罵られてもめげず、会社員、女優、モデル、銀座のホステス、ドクターなどと交際。しかし、結婚にいたっていない。著書に『57歳で婚活したら すごかった』『婚活したら すごかった』(以上、新潮新書)、『すべての婚活やってみました』(小学館新書)、『アラフィフ婚活』(飛鳥新社)、『なぜ「スマ婚」はヒットしたのか 誰もが挙式できる世の中に』(幻冬舎)がある。

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  • 石神 賢介
  • 2023.07.20